☆ 魔天〜HARD SECTION〜 湯浅 晋 発売直後インタビュー!! |
|
 |
魔天〜HARD SECTION〜発売直後インタビュー!! 湯浅 晋 氏がデビュー直後にギター雑誌のインタビューです。 ギターを始めたキッカケから、1stアルバム魔天〜HARD SECTION〜の レコーディング秘話まで、湯浅 晋フリークには非常に興味深い内容となっています。 伝統破壊〜TRDITION BREAKER〜 以降 X-RAYの音楽性はよりポピュラリティを求め、 アメリカンHR系へシフトしていきますが 1stアルバムではブリテッシュHR系の楽曲群で構成されており この1stアルバムを最高傑作にあげるファンの方も多いですよね。 とても18歳とは思えないギター・テクニックの数々が堪能出来る 1stアルバム誕生の経緯や苦労も語っていらっしゃいます。 |
■まずギターを始めたキッカケは？
Shin：中学高1年生（12歳）の頃、いくつかキッカケがあって音楽に目ざめまして、
それで父親には内緒で母親にアリアプロ�兇�4万くらいのレス・ポールモデルを買ってもらったんです。
ジェフ・ベックに合わせて黒いヤツでネ。
■というと、ベックの「ギター殺人者の凱旋」あたりを聞いて？
Shin：イエ、ベックはB．B．A（ベック、ボガード＆アピス）の2枚組みライブが先でした。
キッカケのひとつは、まずボブ・ディランのコンサートに連れていかれたんです。
京都の中学、高校が一貫している進学校に行っていたもんで、家庭教師もいまして、
その人がフォーク好き好き青年だったんです。
ほんでそのコンサートに連れていかれて、まず音楽ってエエナー思うようになって。
あと1年生の12月頃フォーク・ギターでスゴい速弾きやってる先輩見まして、それでエラく感動しまして。
でも指があんまりにも早く動いてるんで「僕には無理だ」と思いまして、ドラムをやってみようと。
そしたら友達が「ドラムならカーマイン・アピスがエエで」いうもんでB．B．Aのライブ買うたワケです。
でもレコード聴いてる内に、どう聴いてもバックのギターの方が僕にとっては存在感が強烈で、
ほんでやっぱりギターやることにしたんです。ウチの学校、エレキは禁止で
文化祭なんかみんなフォーク・ギターやったけど、やっぱエレキにしまして。
■どんな風に練習してました？
Shin：やっぱりレコード・コピーばっかりでした。B．B．AのライブはB面が出て来そうなほど、擦り切れるぐらいに何度も聴いたし。
それから誰もが1度は通るディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」とか「スモーク・オン・ザ・ウォーター」もやっぱり演りましたし・・・・。
それからちょうどその頃シンコー・ミュージックから奏法シリーズっていうタブ譜の出てる楽譜集が出ててそれに出ている曲は大体やってみました。
ベック、それからリッチ−・ブラックモア、エリック・クラプトン、ブライアン・メイのを買うて。
■そ、それはお買い上げありがとう。こんなに立派になられて、ホント、ヘタにならなくて良かった。
（その奏法のベック・クラプトン・メイの3冊はインタビューアーの編著物で思わずアガったそうだ。）
Shin：あとからミスも見つけましたけど。
■ハハハ・・・・・。（と笑ってごまかす。）コピーは大して苦労しなかった？
Shin：そうですネー、割と上達は早かったかナ。でもやっぱり新しい技に出会うと大変でした。
ベックしか知らん頃、先輩にリッチ−・ブラックモア教えられまして、
あの「ハイウェイ・スター」の16分音符の速弾きとか感動しました。
ほんでディープ・パープルの「ライブ・イン・ジャパン」聴きまくって。
ただ、僕ってかなり自惚れ性なんですワ、
割とコピーするの早いから、「どうや、こんだけ弾けるんやでー」なんて人に弾いて見せるでしょう。
で、たまに周りからキツい批評されまして、そういう時、一気に落ち込むんです。
ほんで、落ち込んだとき、技術的にも精神的にも立ち直るまでが大変で・・・・。
■中学校以前は音楽に興味なかった？
Shin：洋楽は中学に入ってからです。ビートルズとかも。その前はやっぱり歌謡曲ですね。
山本リンダとかフィンガー5、それから最高だったのが、西城秀樹の「ちぎれた愛」！ああいう熱唱型が好きでした。
割と"目立ちたがり屋"ですから、やっぱり芸能界への憧れはバリバリありましたネ。
今でも松田聖子とデュエットしたいとか思ってますけど。
■そうですか。で、ディープ・パープル以後は一気にヘヴィー・メタル、ハード・ロックへ？
Shin：そうですネ。特にUFOのライヴには大感動しまして。
頭は金髪にしてフライングV買うて日夜練習に励みました。
マイケル・シェンカーのギターって本当メロディアスで色んなパターンがあるでしょ？
ウルリッヒ・ロートはディミニッシュド・スケールとか使って、シェンカーとはまた違うけど、
やはりメロディアスに弾くんですよネ。あの人のスタイルも大好きです。
中学3年の夏休み頃からバンドも演るようになったんですけど、UFOとスコーピオンズの曲はたくさんコピーして演りました。
■メンバーはどうやってあつめたワケ？
Shin：学校はボウズ頭でエレキ禁止やったから、演るヤツいなくて、楽器屋で知り合った人達と演り始めてたんです。
あのノヴェラが活躍していた影響でその頃から関西ではヘヴィ・メタル盛んでしたから。
そういう伝統があるせいか、テクニック・レベルでは今でも関西の方が上だと思います。
ルックスは東京の方がエエみたいやけど。やっぱり関西人には浪花根性がありますから。
■オリジナルをやり始めたのは？
Shin：中学3年の頃から少しずつやるようになって。
モチロン本格的になったのは16歳でX-RAY組んでからですけど。
■X-RAYを組んでからはギターのオリジナリティーも意識しましたか？
Shin：そうですネ。16歳の頃、家でギターを教えてたりもしたんですけど、
そうすると余計に自分のスタイルがないとイカンナーと思い始めて。
それにオリジナル演るってことはソロもみんな自分で作らなイカンから、
コピーじゃなしにイイ・ギターを弾かないとどうしようもないでしょう？
だから、オリジナリティーまでいかなくても、とにかくギターを泣かすとか歌わすってことを考えるようになりました。
マリノの（大谷）レイブンが凄くオリジナリティーあってスタイル確立してるでしょう？
あの人なんか見てエエナー思うんですよ。自分も早くそうしたい思うて。
けど、反面まだまだ安定したスタイルを持つのは早過ぎるって気もしてるんですけどネ、
もっと色々と吸収してからでもエエんじゃないかと。
■教えていたというと、基礎的なテクニックにも相当自信アリ？
Shin：イヤーそれがそうでもないんですよネ。
教えてた子にはメトロノーム使わしたけど、自分じゃほとんど使った事ないし・・・・。
それから僕、ピッキングがオルタネイトじゃなくてフレーズによってダウン・ダウン・アップとか
アップだけ、ダウンだけとかパターン変わるんです。
それでスタジオで録音してみて分かったんですけど、特にリズム・カッティングに関してはオルタネイトしてないとリズムの切れが悪いし、
コードの響きもバラ付いたりするんですよネ、だからカッティングに関してはオルタネイトに徹しようと練習しました。
けど、リードの場合はオルタネイトじゃないところから、同じフレーズでも僕だけのニュアンスが出ているようなんで、
そっちに関しては今のままで行こうと思ってます。
あと、僕はかなり手がデカイというか指が長いんで、なかなか普通の人には出来ないポジショニングも出来るんで
そっちも追求しようと思っています。
■聴くのも演るのもへヴィ・メタルのみ
Shin：イエイエ、僕のエエところでもあり、悪いとこでもあると思うんですけど、
表面的だけでもエエナー思ったモンはどんどん吸収してしまうんです。自分なりに。
ロックでは今ジャーニーとナイト・レンジャーが1番好きですけど、ニュー・ウェイヴのU2とかも好きなんです。
フュージョンっぽいのもアル・ディ・オ・メラ、アール・クルーあたりは今でもよく聴きますし。
前はジョン・マクラフリン、リー・リトナー、ラリー・カールトン、渡辺香津美も聴いてました。
■カールトンまで！？
Shin：そうなんです。完コピしたのは「ルーム335」1曲やったけど、僕の得意のパターンでエエナー思ったフレーズだけパクってみたり。
ジェィ・グレイドンもエエし、スティーヴ・ルカサーは死ぬ程、好き！
フュージョンの人って、やっぱりテクニック凄いから運指もロックより過激なのがたくさんあるんですよネ。
だから、そういうのを吸収しようと思って、音楽的にも好きだし。
■X-RAYのサウンドからは想像出来ないようなアメリカナイズした趣味ですネ？
Shin：そうなんですよ、「魔天」にしてもあそこまでヘヴィ・メタルになると思わなかった。
もっと違うかナー思うてたら、レコードみんなに聴かせたら「ラウドネスに似てる」って意見もあって。
確かにサウンド・プロデュースはラウドネスと同じ人なんで、似たニュアンスが出るのはしょうがないと思うんですけど、
今後はもっとアメリカンっぽいへヴィ・メタルみたいな、今の日本のへヴィ・メタルにはない音を狙いたいんですよネ。
例えばデフ・レパードみたいナ。1.2枚目も好きだったけど、3枚目も良くてアメリカでバーッと売れたでしょ？ホンマに良かった。
■さて、レコードの話が出たので、そちらに話題を移しましょう。初レコーディングでしょ？
Shin：いや、X-RAYでやる前に浜田麻里のデビュー・アルバムで1曲やりました。
■そうでしたか。
Shin：凄いスケジュールの録音だった。
去年の6月か7月にアースシェイカーと一緒に東京の屋根裏とスーパーマーケットでライヴやりに来た時に
樋口（宗孝）さんと知り合いになったんですけど、9月のある夜中の2時に電話が来て、
「明日、4時までに東京に来い！レコーディングでギターやってもらうから」って言うんです。
そりゃレコーディングに参加してみたかったですから、すぐギターの弦を張り替えて、寝て朝9時に京都出て、
みんなのセッティング中に曲を覚えさせられて、リハーサルして、次の日が本番。
それでなくてもキツイスケジュールでマイってるのに、ヘッドホンしてスタジオで録音するなんて初体験でしょ、
ライヴしか演ったことなかったから感じがまるで掴めずに困りました。
■X-RAYの時は、その辺の問題は？
Shin：デモ・テープを作ったんでその時にかなり馴れました。でもスタジオ録音ってことに関してもまだまだこれからですネ。
■で、「魔天」の自信の程は？
Shin：デビュー・アルバムとしてはハイ・レヴェルに仕上がったと思います。
他のメンバーも録音経験ないのに十分に実力を出せたと思うし。
■曲はズーッとライヴでやっていたモノ？
Shin：半分ぐらいそうですけど、レコードとライヴじゃアレンジ変えナしょうもないというのも分かり出して、レコードらしい感じにアレンジしました。
ライヴは見せれるから長いソロなんかも大丈夫だけど、レコードじゃ聴くのみで、ダレるからキメも多くしてネ。
ギター・ソロも全然変りました。
■ソロのラインはキメたワケ？
Shin：色々ですネ。「COME ON」っていうのは完全にアドリブ。
アドリブだと弾きまくっちゃうし、あまり気に入ってないんです。けど、マァディレクターからOKが出て。
「DARK NIGHT」「SO LONG RUMBLE」「ONE NIGHT LADY」の3曲は反対に、完全にキメておいたソロです。
あとは、ソロの中に山場用に3つほどフレーズをストックして、アドリブでやりながらキメどこでそれを出すやり方。
キメておくっていっても、僕の場合、録音の1時間前にまとまったとかいうケースが多いんですけど。
「LONLEY GUYS」なんかまさにソレ。はじめアドリブ1発でライト・ハンドやりまくろうと思ってたら、ディレクターから
「ソレは止めとけ」言われまして、急遽ソロのラインを考えて、1時間前に大概まとめて。
■ギター・サウンドは巧く録れました？
Shin：その辺も経験が少ないんでスムーズにはいきませんでした。
結果的に満足してますけど、とにかくライヴで演ってる自分で気に入ってる音そのままって感じじゃないですから。
自分が空気を経て聴いてる音と、アンプのスピーカーにオン・マイクで録った音のギャップですネ。
■オーヴァー・ダビングは？
Shin：「THEME OF X-RAY」は厚みをだすんで7チャンネルダビングしたけど、あとは大して。ダビングの仕方も研究したいです。
■今回の録音で特に苦労した点は？
Shin：ギターに関しては、さっきも言ったんですけどリズム・カッティングですネ。
リズム・キープ、歯切れ、アクセント、その3要素を完全にマスターするのがヒト苦労でした。
今までは適当にリフを刻んでただけでカッティングになってなかったから。
で、リズム・カッティングが良くなってきたら、ソロも凄くリズムが良くなった気がして、本当にリズムの大切さを知りました。
■「魔天」の中での自信作というと？
Shin：曲としては「HARD SECTION」「LONELY GUYS」「SEXUAL URGE」が気に入ってます。
ギター・ソロでは「ONE NIGHT LADY」とやはり「SEXUAL URGE」。
■で、セカンドへ向けての反省点は？
Shin：そうですネー、さっき話したギター・スタイルもそうだけど、自分の音も早く確立したいですネ。まだどうもアヤフヤで。
腰があって、抜けが良くて、よく歪んでいて、って感じなんですけど、中々そういう風にならなくて。
それから、もっとプロとしての自覚を持ってプレイしたいですネ。
あと、ちょっとファーストは全体にエコー掛けすぎたんで出来たらもっとタイトなサウンドにしたいんです。
ヴァン・へイレンの1枚目がやっぱり良いですネ、少し違うけど4枚目の音も好きですけど。
■さて「魔天」で使用したイクイップメントを紹介して下さい。
Shin：ギターはギブソンの白いレスポール1本で演りました。
でも、ステージではハムバッカ−・マウントのストラトと併用していくつもり。
何故かっていうと、レコーディングの時レスポールにE・S・Pのマイティー・バイズ付けてアーミングしてたんですけど、
やっぱりアレにも問題が感じられるんで、結局ストラトにハムバッキング・ピックアップのパターンにしたんです。
でもネ、実は京都の"ウエスト"って楽器屋さんで"湯浅 晋モデル"っていうのを作ってもらってるんですネ。
レス・ポールにウエスト製の新しいトレモロ・ユニットをマウントしたギター。それが出来てきたらメインにするかも分からないですネ。
■何か改造は？
Shin：ピックアップはダンカン・カスタムに替えてます。レスポールもストラトも。
ヴァン・へイレンもアレらしいけど、レスポールのとストラトのじゃ歪み方が違うんですネ。
それからレスポールの方のポットのセッティングを入れ替えてます。
ヴォリューム奏法とか考えてリア・ピックアップのヴォリューム・ポットをフロント用の所に入れてあるんです。
■アンプは？
Shin：バッキングは前から持ってるマスター・ヴォリューム付のマーシャル100W。
それから数曲ソロで新しく手に入れたJCMシリーズのマーシャルを使いました。そっちはマスターなしので。
■ヴォリュームは？
Shin：やっぱりフル・アップがエエですネ。
■エフェクトは？
Shin：最近揃え始めたんですけど録音の時は大して持っていなくて、エコー類はミキシング・ルームの方で掛けてもらいました。
自分のはコーラスくらいかナ。最近はヴォリューム・ペダル、ボスのオーヴァー・ドライブ、10バンドイコライザー、
CE-1（コーラス）、SRE-555（テープ・エコー）、ステレオ・フランジャー、あとマクソンのソニック・ディスト−ションと
DM1000（デジタル・エコー）。それからPMPのバッファー・アンプを使う予定。
■アンプはステレオ・アウト？
Shin：そうです、ゲイリー・ムーアみたいにダイレクトとエフェクトに分けて。それからワイアレスにしてます。
■では最後にギター・キッズに一言・・・・。
Shin：やっぱり基本をしっかりやって、その上で根性込めてギターを弾いて欲しい。
メッセージとしては、多分読んでる人の多くは僕と歳が近いと思うんだけど、
やっぱり僕たちぐらいの世代が若いからこそ頑張らナいかんと思います。
みんなも目一杯やって欲しいですネ。それからX-RAYのレコードを是非買うて下さい.。
〜Sprcial Issue Top Pageへ〜
〜TOPへ〜