☆ SHOUT! レコーディング直前インタビュー


    
今回の特別企画は・・・

OUTSIDERを発表後、SHOUT!への
レコーディング直前のインタビューです。

Key:藤山 高浩加入の経緯や、加入後の
バンド・サウンドの変化〜進化について語っています。

そしてその「OUTSIDER」を作り上げた自信からか
ニュー・アルバムへの更なる意気込みは勿論、
今後のX-RAYとして、どう展開していきたいかなど
Shin,Ozumaを中心にメンバー全員が熱く語っています。









■忙しいところ、ありがとう。先日のライヴ(1984年7月8日 新宿ロフト)観せてもらったけど、良かったよ。
   その時に「ニュー・アルバムが出る」って言ってたよね。

Shin  :7月15日からレコーディングです。

■その話は後でじっくり聞かせてもらうとして、とりあえず新メンバーの藤山君の加入のいきさつなんかを教えてくれる?

Shin  :実はセカンド・アルバム「伝統破壊」の時から「キーボードが欲しい」ってところがあって、
      まぁ結局その時は入れなかったんだけど、たまたまそこのスタジオのアシスタント・ミキサーの人が
      「キーボードならいいプレイヤーを知ってる」って言うんですよ。

Ozma:それでシンが悪ノリしちゃってね・・・・・。

Shin  :それで彼(藤山)がやってた「レディー」ってバンドのテープを聴かせてもらったら
      「あ、もうこいつしかおらん!」思って早速電話した。

Takahiro:最初オレが家にいなくて、帰ったら「ユアサって人から電話があったよ」って言われて「なんだ、そりゃ?」(笑)
       そしたらちょうどまたかかって来て「ちょっと一緒に遊んでみない」ってね。
       全然バンドに参加しないかなんて話じゃなかったんですよ。

Shin  :彼がその時やってた音楽って、あんまりヘヴィ・メタルって感じじゃなかったし、
      関東の人間やからバンドのメンバーとしてうまくやっていけるかどうかの不安もあって、その辺は慎重に・・・・・ね。

Takahiro:「レディー」は完全なアメリカン・ハード指向だったんです。

Shin  :それで彼とも色々話し合って、新しいキーボード・スタイルを造り出そうってね。
      ただバックにコードが流れてるってやつじゃなく・・・・・。

■オルガンが"ビャ〜〜〜"と鳴ってりゃいいってもんじゃないよね。

Shin  :そうそう。けどはじめのうちはやっぱり色々とくい違う部分があったよね。
      ボクんとこ泊まったりして、一緒に曲作りなんかやってるうちに、
      だんだんお互いに理解しあえたんで、今じゃあもうギャップはありませんね。

Takahiro:何か最初はゴマカされながら入ったって感じで実感がなかった。
       「サインして」って頼まれても「オレも書いていいの?」って雰囲気(笑)
       最近やっと自覚が出たみたいです。ツアーなんかやってるとうちとけるね。

■キーボードをプラスしたことで、X-RAYとしてどんなメリットや方向性を考えたの?

Shin  :ハード・ロックをね、とにかく新鮮でナウいサウンドにしたかった。
      それにギターが止まってキーボードとドラムだけのブレイクを埋める空間なんかもあっていいと思うし、
      ヴォーカルは音程とりやすいし、ギターは楽が出来る(笑)なんて安易な考えも少し・・・・・。
      もちろんキーボードならではのアレンジの可能性も追求したいですね。

Ozma:たとえば、普通のハード・ロックバンドはゲストみたいな形でキーボードが参加しても、
      ギターのアレンジは変らないってのが多いんやけど、そうやなくて、
      もっと両方のコンビネーションを考えたアンサンブルがX-RAYの特色だと思う。

Shin  :結構対立もあります。「いや、ここはギターはこうやから・・・・・。
      いやキーボードはこうで、ギターはこれで弾いてもらわんとこれ困る」とかね(笑)

■でもそれがなきゃ逆におかしいよ。藤山君のキーボードは「OUTSIDER」を聴かせてもらった限りでは
  ナイト・レンジャーのアラン"フィッツ"ジェラルド的なセンスを感じさせるね。

Shin  :気のせいです!(一同爆笑)

Ozma:別に音楽性そのものを変えるっていうんやなく、サウンド面では常に何か新しいものが必要だと思うんです。
     その意味で彼のプレイは同じキーボードでもすごく現代的やと思う。

■ヴォーカリストの立場からはどうかな?

Akira :やっぱりバックにすごい空間ができたってことです。
      ワン・コードで歌うところでも、リフの上にキーボードが変化音を加えてくれると、本当に唄いやすい。
      オーバーに言うと、キーボードが入ったことで曲に対する感情の入れ方みたいなものが、以前より数段アップしたような気がするね。
      ホンマのはなし、他の(ハード・ロック)バンドのヴォーカリストはみんなキーボード入れたがっんのとちゃうやろか。

Shin  :まぁ、好みの問題もあって、ギターとリズム隊でストレートにやる良さもあるから、一概にどーこー言えんやろけど。
      ただ、今になって他のバンドの音聴きに行ったりすると、やっぱり音の薄さが気になっちゃう。
      「オレらも前はこんな音やったんか」って・・・・・。

      
 
                     


■で、そのキーボードが入って最初のレコード「OUTSIDER」なんだけど、
  単にキーボードが加わったという以上に、以前のサウンドや曲調が変っていると思うんだけど?

Shin  :ひとことで言ってしまうと、ハード・ロックというのをメジャーにしたかった。
      別に媚を売るつもりやないけど、もっともっと多くの人に聴いてもらいたかったんです。
      別に構えて聴かなくても素直にノレルような音でね。
      それも含めて、ぼくらのカラーってものをはっきり出していこうってことで・・・・・。

■じゃ、今までのアルバムはカラーを出しきれていなかった・・・・・?

Ozma :いや、そんな事は全然思っていない。

Shin  :ただ、必ずしも自分たち自身でそれがはっきり見えてなかった部分はあった。プロとして恥ずかしい話やけどね。
      周囲を見回して見ても「へヴィ・メタル」っていうとみんな同じ音を出してるし
      「自分はいったい何をやりたいんや!?」って本当に悩んだし、青山さんにキツイこと書かれた
      「伝統破壊」も、何とか自分たちの個性を出そうと考えた結果なんですよ。

Ozma :その意味で「伝統破壊」は今でもぼくはすごいアルバムだと思ってる。

Shin  :そこで「OUTSIDER」では、どうせやるなら、そうした個性を極端に出してやれってわけで、かなり思いきってポップな面を出した。

Ozma :ひとつには当初はシングルという予定だったんで、「それ用の曲」を書いていたってこともあるね。
     だから「OUTSIDER」がX-RAYのすべてだと思われても、また困ってしまう。
     たとえば次のアルバムではもっとトータル性を持たせて、ロック色も協力に出して行くつもろやし・・・・・。

Shin  :キーボードとのアンサンブルをもっと緻密にして行きたいし・・・・・。
      ぼくらはあくまでハード・ロックバンドやから強力なリズムがドンとあって、
      その上のメロディーとかにX-RAYならではのものを出せたらいい。

Ozma :メタリックなへヴィさやないやろうけど、ハード&へヴィな部分は前面に出したいね。

Shin  :ヘンな話かもしれないじぇど、たとえばリズム隊のへヴィさだったら、
      トレヴァー・ホーンのミキシングしたホール&オーツのリズムなんて、あれはヘヴィ・メタルだよ。

Ozma :「OUTSIDER」は曲自体がポップやったから、キーボードなんか自分たちとしては少し押さえ気味の録音やと思ってるけど、
     それでも聴く人はすごく変ったと言うんやからちょうど良かったのかもね、これを出しておかないと次のアルバム出せへん(笑)

Shin  :そう、これで出しやすくなったですね。

Ozma :別の見方をすると「伝統破壊」であれだけのことをやっておいたから、
     「OUTSIDER」が出せたと思います。どこかの雑誌で酷評されたけど(大爆笑)

■いや、マイッタ。でもアーティストとしてレコードを創る以上、それは当然の意見だね。
  その時点で自分が信じたことをやるっていうのはファンに対する責任だよ。
  それに対して、思ったとおりのことを書くのもこれまたぼくらの読者に対する義務だしね。
  ところで、そのニュー・アルバムについてもう少し具体的に教えてほしいんだけど、ロフトのライブでも2曲やってたよね。

Roger:そう、バラードとミディアム・テンポの2曲ね。

■ポップ色は後退しちゃうの?

Shin  :いや、そういうことじゃなくて、ともかく「クラ〜い曲」はあんまりやりたくない。
      「悪魔のナントカ」みたいな雰囲気は、ファーストの頃は多少あったけど。もうそういうのちょっと・・・・・。
      明るくて、適度なナウさ、それにヘヴィなビートね。
      ぼくが今考えてるのはアルフィーみたいな一見ヘヴィという音楽やなくて、
      リズム隊の本当のへヴィさにプラスされた洗練されたメロディーを持つ音楽なんです。

■それと直接関係あるかどうかわからないけど、セカンド・LPにしても
  「OUTSIDER」にしても、ギターのバッキングのときの音量がちょっと控え目じゃない?

Shin  :他のバンドと比較するとそうかもね。

■ライヴは全然違うけど。で、そのニュー・アルバムの話にもどるけど、発売日はいつなの?

Ozma :一応12月16日の予定ですね。その前に9月に西日本のツアーがあって、
     その後でニュー・アルバムの発売に合わせてホールをやります。

■アルバム・タイトルは決まってる?

Shin  :まだ考えてないんですよ。

■曲数は10曲くらい?

Ozma :8〜9の予定やけど、「見せたがり」やから9曲は入れたい(笑)。

Shin  :アルバムの内容について補足したいんですが、外タレも含めてね、普通のへヴィ・メタルのバンドの音を聴いてると、
      音がひとつのカベみたいな感じで出てると思うんですよ。そのカベ全体でガーッっと押し出してくるみたいな、ね。
      で、普通のポップスみたいな音楽は、低音のビートがあんまりなくて、全体が何かフワ〜ッとしてる。
      それでニュー・ウェーヴなんかも含めて、音に奥行きがある感じ。それで、ぼくとしてはそのふたつをうまく合わせたいんですね。

Ozma :欲張りなX-RAY(ボソリと言うのがウケる)。

Shin  :いつでも全部の音が鳴ってるんじゃなくて、空間があって、その中に音が浮き出て来るような・・・・・。
      そしてそのベースにロックのの強力なビートがあって・・・・・そんな音楽をイメージしています。

Ozma :外国でいう本来の意味でのへヴィ・メタルとは違うね。

Shin  :そう。ビートが効いていて、それでいて透明感があるようなやつ。

■それだとホール&オーツがヘヴィ・メタルっていう意味がよりはっきりとわかるね。

Shin  :いや、ほんとそう思うんです。トレヴァー・ホーンの創り出す音ってみんなそうや。
      "アート・オブ・ノイズ"ってニュー・ウェーヴのグループや、イエスも仕事やし・・・・・。

Ozma :ワケのわからん(アート・オブ・ノイズのこと)の好きやなァ。あのねちょ宣伝させてほしいんやけど、
     今回のアルバムではボ4曲作ってます!「OUTSIDER」の「LADY RAY」も作ったんや。

Shin  :クレジットされなかったのね(笑)。

Ozma :ボクがああいうルンルンのメジャー・キーの曲作ったから、シンもしかたなく後からメジャーの曲作った(一同笑い)
     でもX-RAYのメジャーの曲って、「メジャー&マイナー」なんやね。あまりネアカの曲は恥ずかしい。

Shin  :メジャーでもマイナーっぽく聴かせる、マイナーをメジャーっぽく聴かせる-----コンポーザーとしては悩むところや。

Ozma :思わずギター・ソロでスケールを考えてしまう・・・・・。

Shin  :いや、ほんとにそれはある。そんなメジャーとマイナーの切り換えみたいなことは、外国のヤツらうまいですね。
      前にナイト・レンジャーにインタビューする機会があって、その時にもその辺のことを聞いたんやけど・・・・・。

Ozma :いかにも転調してるみたいなのはイヤやし・・・・・。

■X-RAYとしてはアマチュア・グループに自分たちのコピーしてもらいたい?

一同 :そりゃしてほしいですね。

Ozma :セカンドはあまりコピーしてるグループを聴いたことがないけど・・・・・。

■あれは演奏が難しいよ(笑)

Ozma :メンバーも弾けへんがな(一同爆笑)

Shin  :ヴァン・へイレンもコピーしてるバンドは多そうで少ない。

Ozma :ギターは何とかできてもヴォーカルがでけへんやろね。バス・ドラムも8個並べんとアカンし。

■コピーの話で思い出したんだけど、「OUTSIDER」のことで、ギター・ソロはほとんどアドリブじゃないみたいだよね。

Shin  :あぁ、あの時はスタジオ・ミュージシャンになったつもりで弾きました!
      ちょっと大人っぽく、テクニックをひけらかすみたいなことせんと・・・・・。
      まぁ、もともとレコーディングではあんまりアドリブをするタイプやないんやけど、
      逆に今度のアルバムではビシビシとアドリブのロック・ギターをキメようと思ってます!

Ozma:実はソロを練って考えるほど期間がない!!(一同バカウケする)。

Shin  :とにかく曲作りにしてもまずKeyの選び方からよく考えて、全体のサウンドを創り出すようにした
      今度のアルバムに期待してください。もちろん今発売中の「OUTSIDER」をまず、買ってもらって、ね。

Ozma:コンサートにも色々なとこに行くんで、是非気軽に来てほしい、ヨロシク。

■どうも、ありがとう。レコーディング頑張ってね。

       



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